患者さんの中には、病状が悪化してつらい状況でも、じっと堪えて我慢する方がいらっしゃいます。
「迷惑をかけてはならない」とナースコールすら押さずに、耐えてしまうケースも見受けられます。
こうした方は、自分の感情を出すこと、人の世話になることを悪いことだと捉えている傾向にあります。
そのような患者さんのケアを担当する場合は、小さなサインを見逃さず、適切にサポートすることが求められます。
まず大切なのは、患者さんへの丁寧な声掛けです。
「何か困っていることはありませんか」「痛みはありませんか」といった直接的な質問だけでなく、「ぐっすり眠れましたか」「食事は食べられましたか」など、日々の些細なことでも聞くようにしましょう。
患者さんが話しやすい雰囲気を作ることで、少しずつ心を開いてくれることがあります。
すぐに話してくれなくても、繰り返し穏やかに接することが、「この看護師さんには話せるかも」と感じてもらえるきっかけになります。
次に、患者さんの言葉だけでなく、非言語的なサインを読み取る観察も欠かせません。
表情がいつもより暗い、食欲がない、ため息が多い、落ち着きがないなど、言葉にならない変化をキャッチしましょう。
巡回の際も、ただ通り過ぎるのではなく、患者さんのベッドサイドで少し立ち止まって様子を見る時間を作ることが大事です。
患者さんの些細な変化を見逃さず、「もしかしたらつらいのかな」と仮説を立て、それに対する声掛けや介入を行うことが重要です。
この小さな気遣いが、患者さんの見えない苦痛を軽減する助けになります。
つらさを表に出さない患者さんへの対応は根気がいりますが、上記のような丁寧な対応を継続していけば、適切なケアが見えてくるはずです。