つらさを表に出さない患者さんへの対応

患者さんの中には、病状が悪化してつらい状況でも、じっと堪えて我慢する方がいらっしゃいます。
「迷惑をかけてはならない」とナースコールすら押さずに、耐えてしまうケースも見受けられます。
こうした方は、自分の感情を出すこと、人の世話になることを悪いことだと捉えている傾向にあります。
そのような患者さんのケアを担当する場合は、小さなサインを見逃さず、適切にサポートすることが求められます。

まず大切なのは、患者さんへの丁寧な声掛けです。
「何か困っていることはありませんか」「痛みはありませんか」といった直接的な質問だけでなく、「ぐっすり眠れましたか」「食事は食べられましたか」など、日々の些細なことでも聞くようにしましょう。
患者さんが話しやすい雰囲気を作ることで、少しずつ心を開いてくれることがあります。
すぐに話してくれなくても、繰り返し穏やかに接することが、「この看護師さんには話せるかも」と感じてもらえるきっかけになります。

次に、患者さんの言葉だけでなく、非言語的なサインを読み取る観察も欠かせません。
表情がいつもより暗い、食欲がない、ため息が多い、落ち着きがないなど、言葉にならない変化をキャッチしましょう。
巡回の際も、ただ通り過ぎるのではなく、患者さんのベッドサイドで少し立ち止まって様子を見る時間を作ることが大事です。

患者さんの些細な変化を見逃さず、「もしかしたらつらいのかな」と仮説を立て、それに対する声掛けや介入を行うことが重要です。
この小さな気遣いが、患者さんの見えない苦痛を軽減する助けになります。
つらさを表に出さない患者さんへの対応は根気がいりますが、上記のような丁寧な対応を継続していけば、適切なケアが見えてくるはずです。

新人看護師の苦悩と乗り切るコツ

看護師として働きはじめて間もないときは、業務に慣れるので精一杯で、患者さんに向き合えないことに悩むかもしれません。
覚えることも多く、「看護師としてやっていけるかな」という、大きな不安がよぎる瞬間も出てくるでしょう。

しかし、そんな大変な中で、ふとしたやさしさに出会うこともあります。
実際、患者さんが新人看護師を気遣い、ケアや接し方のノウハウをアドバイスしてくれるような事例もあります。
看護師と患者さんという立場があったとしても、本質的には人と人との付き合いであり、患者さんとの温かい瞬間に遭遇することは幾度とあるのです。
患者さんとの関わりに苦手意識を持ったり、不安がったりする方もいますが、患者さんの存在自体が励みになるケースもあることは、ぜひ知っておいてほしいです。

新人看護師のうちは、患者さんの気持ちになかなか気付く余裕すらないでしょう。
相手の立場に立って看護しているつもりでも、多くのベテラン看護師と向き合っている患者さんからすると、色々違いが見えているものです。
特に患者さんは、闘病中の不安や孤独もあり、看護師一人ひとりの動きや言動を気にするものです。
はじめのうちは上手く立ち回れないかもしれませんが、先輩看護師の動きを真似したり、患者さんに直接要望を聞いたりして、改善のための行動を実践することが重要です。

行動の改善を日々意識すれば、看護師として確実に成長することが可能です。
さまざまな患者さんとの関わりは、スキルや人間性を高める糧になります。
勉強させてもらう気持ちで、相手と真摯に向き合いながら看護に励みましょう。

とはいえ、新人時代は業務や患者さんのことで悩みが尽きないものです。
そんなときは、看護師として悩み、葛藤しているのは自分だけではないことを思い出してみてください。
先輩や同期に相談するほか、ネットにアップされている看護師の体験談や患者さんとのエピソードを読むなどして、同業者の声を聞くことをおすすめします。